今年は、毎年8月1日から7日に実施される「水の日」および「水の週間」の第50回目を迎えます。この取り組みは、平成26年に制定された水循環基本法において、国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深める日として位置づけられており、水の利用が増える夏季に合わせて、全国でさまざまな啓発活動やイベントが実施されています。今年のテーマである「次世代に引き継ごう『健全な水循環』~治水・利水・環境の調和~」は、ウォーター・スチュワードシップの重要性を示すとともに、共有する水課題の解決に向けた協働の必要性を表しています。
昨年、AWS(Alliance for Water Stewardship)は、ジャパン・ウォータースチュワードシップ(JWS)の発足を記念し、Japan Water Stewardship Forumを開催しました。それ以来、JWSは日本におけるウォーター・スチュワードシップの推進に向けて、日本語による研修や能力開発プログラムの提供、AWS規格トレーニングの実施、企業間のネットワーキングや連携促進に取り組んできました。また、重点流域の選定、行政機関との連携強化、さらには今後のコレクティブアクションの基盤づくりに向けても関係者が協力して活動を進めています。
この1年間の主な成果をご紹介します。
日本におけるウォーター・スチュワードシップの取り組みと成果
イベントを通じた
アウトリーチ数:
1,380
名以上
2025年のウォーター・
スチュワードシップ
トレーニング受講者数:
70
名
AWS規格認証取得拠点数:
6
拠点
ウォーター・スチュワードシップの普及啓発
JWSはこの1年、企業、行政機関、NGO、学術機関など、多様なステークホルダーと連携しながら、ウォーター・スチュワードシップの推進に向けたイベントや取り組みを実施してきました。主な活動をご紹介します。
AWS規格バージョン3.0ローンチイベント| 2026年3月18日
AWSは、サントリーワールドヘッドクォーターズにて、AWS規格バージョン3.0を公開しました。当日は、バージョン3.0における主な改訂内容が紹介されたほか、導入に向けた実務上のポイントについて参加者間で活発な意見交換が行われました。また、WWF InternationalおよびWater Stewardship Assurance Services(WSAS)からAWS規格バージョン3.0に関する見解が共有されたほか、中外製薬からは、AWS認証取得を目指す意義やその価値についての見解が紹介されました。
本イベントは、日本におけるウォーター・スチュワードシップの推進とAWS規格のさらなる普及に向けた重要な節目となりました。
「水破産」の時代に求められるウォーター・スチュワードシップ | 2026年5月25日
AWSとWWFジャパンは国連大学でハイブリッド形式のセミナーを共催し、企業、学術機関、NGO、行政機関などから約400名が参加しました。
当日は、AWSおよびAWS規格の改訂ポイントの紹介に加え、国連大学、WWFジャパン、WW Internationalによる講演のほか、サントリーホールディングス、資生堂、日本コカ・コーラによる事例発表が行われました。各発表では、水資源、生物多様性、気候変動といった課題に対し、地域の多様なステークホルダーと連携しながら取り組む事例が紹介されました。
本セミナーは、企業によるウォーター・スチュワードシップの実践と、流域における協働の重要性について理解を深める機会となりました。
グローバル・ネイチャー・ポジティブ・サミット2026 | 2026年7月14-16日


AWSとWWFジャパンは、熊本で開催されたグローバル・ネイチャーポジティブ・サミットにおいて、流域におけるステークホルダーとの連携と協働活動をテーマとしたセッションを共催しました。
セッションでは、サントリーホールディングス、ソニーセミコンダクタソリューションズ、地圏環境テクノロジー、八千代エンジニヤリングが、熊本地域での取り組みを紹介しました。各事例からは、共有する水課題の解決には企業単独での取り組みだけでなく、流域全体での協働が重要であることが示されました。
また、企業、行政、学術機関、NGOなど多様なステークホルダーが連携し、流域レベルで課題解決に取り組むことの重要性について議論が行われました。熊本での実践事例は、共有する水課題に直面する他の地域にとっても参考となるものであり、流域での協働の有効性を示す貴重な事例となりました。
また、JWSメンバーは同サミットのさまざまなセッションに登壇し、流域での取り組みや協働の経験を共有しました。なかでも、MS&ADインシュアランス グループやサントリーホールディングスなどが主導する「熊本ウォーターポジティブデザインセンター」の設立と、ホワイトペーパーの公開は大きな成果の一つです。同センターでは、地下水涵養や流域のレジリエンス向上に向けた協働を推進しており、さらなる活動の拡大に向けて新たな参加メンバーを募集しています。
「JWSは昨年の立ち上げから国内での普及啓発に注力してきました。特に今年は、AWS規格のバージョンアップという節目を迎え、生物多様性・淡水生態系、気候変動とのかかわりや、コレクティブアクションの重要性を様々な機会を通して発信しました。 今後、JWSの枠組みを通して、より多くの日本企業がウォーター・スチュワードシップの取り組みを推進していくことを強く期待しています。」
- 小林俊介氏 (WWFジャパン自然保護室淡水グループ長)
AWS規格への関心の高まり
JWSによるウォーター・スチュワードシップの普及啓発活動と並行して、共有する水課題に対応するフレームワークとして、AWS規格への関心も高まっています。JWSの創設メンバーであるサントリーホールディングス、日本コカ・コーラ、コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、日本におけるAWS規格(バージョン2.0)の先駆的な導入企業です。現時点で、AWS規格の認証を取得している拠点は計6拠点にのぼり、その認証レベルは、コアからプラチナまで多岐にわたります。
また、AWS規格バージョン3.0の公開を機に、ウォーター・スチュワードシップへの理解を深め、その実践に取り組もうとする企業も増えています。2025年には約70名がAWS規格システムトレーニングを修了し、日本国内における受講者数は前年から倍増しました。AWSは現在、日本企業や日本国内で事業を展開する企業に対し、ウォーター・スチュワードシップの導入や取り組みの深化に向けた支援を行っています。
こうした関心の高まりは、ウォーター・スチュワードシップが企業のサステナビリティ戦略において重要性を増していること、そして流域レベルでの責任ある水資源管理の実践が求められていることを示しています。
今後の展望
この1年の成果を基盤として、JWSは今後もAWSのミッションである「信頼性あるウォーター・スチュワードシップのリーダーシップを育み、発展させること」の実現に取り組んでいきます。これまでJWSは、多様なステークホルダーとの連携を通じて、日本におけるウォーター・スチュワードシップ推進の基盤づくりを進めてきました。今後は、流域レベルでの協働活動をさらに拡大し、より大きなインパクトの創出を目指します。
現在、関係者が連携して取り組む重点流域の選定を進めるとともに、今年後半には学びと交流の機会となるイベントの開催を計画しています。これらの活動を通じて、知見の共有を促進し、ステークホルダー間のさらなる連携強化を図ります。また、企業や市民社会組織との連携に加え、政府関係者との対話の強化や、金融機関・投資家とのエンゲージメントの拡大にも取り組んでいきます。
日本でウォーター・スチュワードシップを推進しませんか?
AWSおよびJWSでは、ウォーター・スチュワードシップの推進に関心のある企業・団体・個人の皆さまの参加を歓迎しています。AWSおよびJWSに参加することで、研修プログラムへの参加やネットワークの構築、共有する水課題の解決に向けた協働活動に参画することができます。
お問い合わせや参加に関するご相談をお待ちしています。
令和8年熊本地震
熊本県および周辺地域で発生した地震の影響を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。JWSメンバーおよびパートナー企業、その拠点や施設、地域のステークホルダーの皆さまのご無事と安全を心よりお祈りしております。

